横領した元営業社員が加盟したユニオンとスピード解決した北九州市の小売業S社
業種 | 小売業(貴金属) |
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従業員数 | 20人程度 |
ユニオンの要求内容 | 未払い残業代の請求、解雇の撤回 |
団体交渉実施回数 | 1回 |
解決までの期間 | 2か月程度 |
状況
S社は北九州市で貴金属の販売を営む企業です。
Yさんは、S社に2年ほど前に雇用され、貴金属の営業を職務内容としていました。
職務の必要上、貴金属の管理も任されていました。
ある日、S社の社長がコンピューター上の記録と実際の貴金属の在庫を確認していたところ、在庫が不足していることに気が付きました。
そこで、社長はYさんに貴金属の着服について問いただしましたが、Yさんは知らぬ存ぜぬの1点張りでした。
社長は、Yさんに不信感を持ち、解雇しました。
すると、Yさんは、労働組合(ユニオン)に駆け込み、ユニオンを通じてS社に対し、団体交渉を申し入れてきました。
社長は、団体交渉についてまったく知識がありませんでしたが、とりあえず1回目の団体交渉に行ってみることにしました。
団体交渉の場では、社長が横領の事実を指摘しましたが、労働組合(ユニオン)はまったく聞き入れませんでした。
それどころか、不当解雇に当たることから解雇が無効であること、解雇が無効である以上賃金を支払う義務があること、未払いの残業代を支払うことを求めました。また、社長の人格や労務管理の不適切さについて、大声を上げて激しく非難しました。
団体交渉を終えて、社長は今後どうすべきか途方にくれていました。そのような中、当事務所が労働組合(ユニオン)の対策のセミナーを開催していることを知り、セミナーに参加しました。
セミナーの中で、弁護士に対応を依頼できることを知り、当事務所に依頼することになりました。
当事務所の労働弁護士のサポート
弁護士は、団体交渉の依頼を受けると、早速労働組合(ユニオン))に受任通知を送りました。そして、今後は当事務所の弁護士が窓口となること、S社への直接の接触を禁止することを通知しました。
また、次回の団体交渉の日時が決まっていましたが、これに対しては保留にしてほしいこと、代わりに弁護士が労働組合(ユニオン)担当者と非公式に個別面談(事務折衝)することを提案しました。
弁護士は、事務折衝の中で、労働組合(ユニオン)の本音がYさんの復職ではなく、金銭解決を望んでいることを感じました。
そこで、第2回目の団体交渉においては、解決金として 150万円を提示しました。
労働組合(ユニオン)は、この提示に対してさらなる増額を求めてきました。
しかし、弁護士はこれ以上の増額は受け入れられないと回答しました。
団体交渉終了後も、弁護士が個別に示談折衝を継続しました。
その結果、150万円の解決金で、雇用契約の終了を確認し、示談が成立しました。
補足説明
この事案は、Yさんの横領が疑われていました。
しかし、横領については、本人が否認している場合、客観的な証拠がないと立証が難しいのが現状です。
したがって、仮に裁判になっていた場合、解雇が不当であると認定されて多額の未払賃金を支払う可能性が高かった状況でした。また、社長は残業代を支払っていなかったため、他に未払い残業代や付加金(制裁金)も支払う可能性も高かった状況でした。
裁判で判決になった場合の金銭負担の見立てとしては 1000万円を超えていました。
したがって 150万円という金額で早期に解決できたのはS社にとてもよかったといえます。
団体交渉の対応については、当事務所の労働弁護士までお気軽にご相談ください。