配転に応じない外国人社員が加入したユニオンとの団体交渉を成功させた大阪市の小売業M社
業種 | 小売業 |
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従業員数 | 400人程度 |
ユニオンの要求内容 | 配転無効 |
団体交渉実施回数 | 1回 |
解決までの期間 | 3か月程度 |
状況
M社は日本全国で販売業を営む企業です。
Yさんは、中国籍の外国人でありM社大阪店の店舗において販売員をしていました。
Yさんは、同じ店舗のスタッフや上司に対して、攻撃的な性格であり、頻繁に口論を行っていたため、職場が険悪な雰囲気でした。
ある日、M社はYさんに対して、大阪府内の他店舗への転勤を命ずる辞令を出しました。
Yさんは、これに納得がいかず、大阪府のある労働組合(ユニオン)に駆け込みました。
そして、労働組合(ユニオン)を通じて、配転命令の撤回を求めて団体交渉を要求してきました。
M社の人事担当者は今後の対応について、苦慮していたところ、当事務所のサポートをホームページで知り、対応について依頼をしました。
当事務所の労働弁護士のサポート
M社としては、Yさんの協調性の欠如に苦慮しており、可能であれば退職してほしいとの意向をもっていました。
弁護士は、本件が解雇は難しい事案であることを説明し、退職してほしいのであれば一定程度の解決金が必要であると伝えました。
そして、M社において協議し、給与1年分を上限として解決金を出してもよいとの社内決定が出ました。
第1回目の団体交渉では、解決金のことは触れず、転勤の妥当性について、主張しました。
これに対して、労働組合(ユニオン)は不当な人事である旨反論しました。
双方の転勤についての主張は平行線をたどり、その日の団体交渉を終了しました。
その後、労働組合(ユニオン)は、第2回目の団体交渉の開催を求めてきました。
これに対して弁護士は、団体交渉の前に、労働組合(ユニオン)担当者の非公式に面談したいと申し入れ、2人で協議することとしました。
面談の中で、弁護士は、今後YさんがM社において働くことが難しい現実を説明し、解決金として給与の6ヶ月分を提示しました。
労働組合(ユニオン)の担当者も弁護士の提示に理解を示し、Yさんを説得しました。
その結果、給与6か月分を解決金とすることで、Yさんの雇用契約を終了する内容での和解が成立しました。
補足説明
この事案での表面的な争点は配転命令の有効性でした。
雇用契約上、勤務地を限定しておらず、仮に裁判になっても配転命令は有効と判断される見込みでした。
そのため、弁護士としては、「配転についてのみ争う」という処理方針も選択肢としてありました。
しかし、M社としてはYさんに退職してほしいとの意向をもっていました。また、Yさんにとっても、納得できない職場で我慢して働くという状況は望ましくなかったと思います。
そこで、双方にとってメリットがある内容での和解案として、M社が一定程度の解決金を支払う代わりに、Yさんに退職してもらうという方針で進めていくこととしました。
本件では、それほど高くない解決金で、最終的位は双方とも納得して和解が成立しました。
団体交渉の対応については、当事務所の労働弁護士までお気軽にご相談ください。