団体交渉において、議事録は必要ですか?
議事録の作成は法的義務ではありませんが、できれば作成していたほうがよいでしょう。
団体交渉における議事録作成のメリット
団体交渉において、議事録を作成する法的義務はありません。
しかし、作成のメリットとしては次の点があります。
検討資料として活用する
団体交渉は、通常、1回では終わりません。労働組合の要求事項にもよりますが、長期間にわたって複数回開催されるのが典型です。
また、1回目の団体交渉については、使用者側からの回答を示さず、労働組合側の要求事項について、労働者側の具体的な主張や根拠等について確認することで終わることも多くあります。これは、団体交渉申入書に記載されている、労働組合の要求事項が不明確な場合があったり、要求事項が多岐にわたっていることがあるからです。
また、例えば、要求事項が未払い残業代の請求の場合、労働組合側が主張する残業時間や計算の根拠等についてくわしく確認しなければならないこともあります。
このようなことから、団体交渉において、労働組合からの具体的な主張内容を確認し、それを社内に持ち帰って会社として検討する必要が生じることがあります。
また、今後の対応について、顧問弁護士や顧問社労士に相談することも多くあります。このような社内での検討や社外の専門家への相談資料として、議事録が作成してあるととても便利です。
交渉の材料
団体交渉の場において、労働組合の交渉担当者の言い分が二転三転することがあります。
そのような場合、使用者側が指摘しても、言った言わないになることがあります。
議事録を作成しておくと、交渉担当者の発言内容の記載があるので、いつ、どの交渉担当者が、どのような発言をしたという具体的な指摘ができます。
裁判等の証拠
団体交渉が妥結しないと、後日、裁判になることが予想されます。
また、労働組合が使用者側の対応を問題視し、不当労働行為として労働委員会へ救済申し立てを行うこともあります。
このような場合、議事録があると、交渉経過の主張の証拠資料となるので、使用者側の主張を立証できる可能性があります。
議事録の記載内容
議事録の記載内容について、特に、決まりはありませんが、団体交渉の日時、出席者、主な発言内容を記載すればいいでしょう。
団体交渉議事録のサンプルとしては、下記の書式を参考にしてください。
団体交渉議事録
議事録を作成する場合、主として発言する者の他に、議事録の担当者を出席させたほうがいいでしょう。
また、労働組合側が議事録を作成し、これに使用者側の署名を求めてくることがありますが、これには応じる義務はありません。
その他の関連Q&A
-
1
ユニオン・合同労組とは? -
2
不当労働行為とは? -
3
労働委員会の手続等 -
4
組合活動の妥当性 -
5
団体交渉への対応方法 -
6
労働協約とは? -
7
争議行為への対応 -
8
紛争の解決制度