労働委員会とはどのような組織ですか?
労働委員会はどのような機関ですか?
また、どのような人が委員になっているのですか?
労働委員会は、都道府県労働委員会と中央労働委員会で構成され、それぞれに使用者委員、労働者委員、公益委員の三者で組織されています。
労働委員会の構成
労働委員会は独立の専門的行政委員会として組織されています。労働委員会は各都道府県に設置される都道府県労働委員会(都道府県労委)と中央労働委員会(中労委)とから成り立っています。
都道府県委も中労委も、使用者代表、労働者代表、公益代表の委員で構成されており、各代表の人数は同数となっています(労組法19条1項)。
このような三者構成とされた理由は、労使紛争において公労使の委員がそれぞれ専門的な意見を出し合って公益及び労使の利益を適切に調和させること、労使委員が当事者の間をとりもって自主的解決を促進することを目指したからと考えられています(菅野1076頁)。
中労委の委員数は各15名(合計45名)、都道府県労委の委員数は各都道府県によって異なっていますが、東京都は各13名(合計39名)、大阪府は各11名(合計33名)、北海道、神奈川県、愛知県、兵庫県、福岡県は各7名(合計21名)、その他の府県では各5名(合計15名)となっています。
委員の任期は2年間となっています。
各委員の選出
各委員の任命ですが、都道府県労委は都道府県知事、中労委は内閣総理大臣が行います(労組法19条の3第2項、19条の12第3項)。
使用者委員については使用者団体の推薦に基づいて、労働者委員については労働組合の推薦に基づいて行われます。
公益委員については、使用者委員、労働者委員それぞれの同意を得て行われますが、実務上は弁護士や大学教授が任命されています。
労働委員会の名簿は公表されており、インターネットで閲覧することができます(中央労働委員会の名簿はこちらを、当事務所のある福岡県の労働委員名簿はこちらを参照してください(平成28年6月現在))。
公益委員については、全員が労働法に精通している人であるとは限りません。人員を確保するにあたり、特に大学教授の委員の方は、研究分野が労働法以外の方も多くいらっしゃるのが現状です。
労働委員会の権限
労働委員会は、独立の行政委員会として、厚生労働大臣や都道府県知事の指揮命令を受けずに、労組法や労調法に規定する権限を行使することができることになっています。
具体的には、
①労働組合の資格審査(労組法5条1項)
②不当労働行為の審査、救済(労組法27条以下)
③労働争議の調整(労組法20条)
④労働協約の拡張適応の決議(労組法18条)
⑤個別労働紛争の調整(個別労働紛争解決促進法)
を行っています。
実務上は、②の不当労働行為に対する審査、救済が非常に重要なものの一つとされています。
また、2001年に成立した個別労働紛争解決促進法に基づき、個別の労働紛争の解決を促進するための必要な措置として多くの地方公共団体で⑤の個別労働紛争の斡旋を都道府県労働委員会が担っている状況です。
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