労働委員会からの救済命令に反した時、罰則はありますか?
労働委員会から救済命令が出されました。
この命令を守らなかった場合、罰則などはありますか?
救済命令が確定したにもかかわらず、使用者が履行しない場合には、50万円以下の過料に処せられます。
裁判所の行政訴訟により確定したものについては、1年以下の禁錮もしくは100万円以下の罰金という非常に重い処分が科されてしまいます。
救済命令の効力
委員会の命令は、命令を交付した日から効力が生じるとされています(労組法27条の12第4項)。
したがって、使用者は命令書の写しを交付されたときから遅滞なくその命令を履行しなければなりません(労委規則45条1項)。
この点に関して、労働委員会の会長は使用者に対して命令の履行について報告を求めることができるとされています(同条2項)。なお、救済命令はあくまで行政処分ですので、裁判所の判決と異なり、私法上の効力はもちません。
具体的には、解雇が不当労働行為に該当するとして救済命令(原職復帰)が出されたとしても、解雇が無効であるということが確定するわけではなく、使用者が自発的に解雇を撤回して事実上原職に復帰するよう命じているにすぎないということになります。
制裁
このように使用者は救済命令が確定しない段階においても命令を履行する義務を負うことになりますが、使用者が再審査請求や取消訴訟を提起せず、命令が確定したにもかかわらず、命令の内容を履行しない場合には、使用者は50万円以下の過料に処せられます(労組法32条)。
また、使用者側が救済命令に対して裁判所に取消訴訟を提起し、裁判所が当該命令を支持した上で確定した場合に、使用者が命令を履行しない違反があった場合には、1年以下の禁錮若しくは100万円以下の罰金を科されます(労組法28条)。
禁錮と罰金は併科することができます。
このように救済命令違反に対する制裁が使用者に与える影響は決して小さくありません。
したがって、救済命令が確定した場合に、使用者がこれに従わないという行動は控えなければなりません。
なお、都道府県労委の救済命令に対して、使用者が中労委に再審査請求をした場合、必要があると認めるときには、中労委は使用者に、命令に対する履行勧告を行うことができるとされています(労委規則51条の2)。
この勧告はあくまで勧告であるため、この違反に対する制裁はありません。
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