争議行為とは何ですか?

執筆者
弁護士 西村裕一

弁護士法人デイライト法律事務所 北九州オフィス所長、パートナー弁護士

保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者

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争議行為とは、ストライキをはじめとする集団行動のことです。

労働組合が組合員の要求の実現や使用者の活動に対する抗議のために行われます。

このページでは、争議行為とはなにか、争議行為の効果について解説いたします。

争議行為とは

争議行為とは、労働組合が労働者の要求の実現や抗議を目的として行われる集団行動をいいます。

典型的な争議行為としては、ストライキが挙げられます。

この争議行為は、憲法28条により保障された団体行動権に由来するものです。

この憲法28条の制定に影響を与えたイギリス、アメリカ、ドイツの労働法制では、団体交渉の奨励が基本的な政策であり、団体交渉を機能させるために団体行動権が必要と考えられていました。

争議行為に関しては、1960年代までは件数自体は多くありませんでしたが、ストライキによる労働喪失日数が多く、労働者側も長期化を辞さない形で進められていました。

その後、第1次オイルショックの1973年に労働争議の件数は大幅に増加し、年間件数が9581件と1万件に迫る状況にまで至りました。

しかしながら、その後は減少傾向にあり、平成26年は、争議行為を伴う争議の件数が年間80件まで減少しています。

したがって、現在の日本社会では争議行為の果たす役割は1970年代に比べると小さくなっているといえます。

ただし、争議行為の効果や使用者に与える影響は非常に大きいという点は依然として変わりはありません。

日本の争議行為の特徴として、多彩な戦術が用いられてきたという点が挙げられます。

すなわち、労働組合の全組合員が一斉にストライキに入る全面ストだけでなく、特定の部門・職場の組合員だけがストライキを行う部分スト、少数の組合員を指名して行う指名ストなどが実施されてきました。

ストライキ以外にもスローダウン、出張拒否、一斉休暇闘争、時間外労働の拒否などの行動も行われます。

 

争議行為の効果

刑事免責

争議行為の効果として、第1に正当な争議行為については、刑法をはじめとする刑事法の違法性が否定(違法性阻却)されるということです。

つまり、刑罰を科されないことになります。

刑法35条には、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」と規定されていますが、この点に関し、労組法1条2項は、「刑法第35条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であって、前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。但し、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない。」と定めています。

ストライキなどの争議行為は、形式的には強要罪(刑法233条)、住居侵入罪(刑法130条)などに該当する可能性があるわけですが、上記の規定により正当性があると認められるものについては保護されるという重要な効果が認められています。

参考:刑法|e-Gov法令検索

民事免責

労組法8条は、「使用者は、同盟罷業その他の争議行為であって正当なものによって損害を受けたことの故をもって、労働組合又はその組合員に対し、賠償を請求することができない。」と規定しています。

ストライキや怠業に関しては、労働契約上労務提供義務の不履行ですから、債務不履行責任が生じ得ます。

場合によっては、不法行為にも該当する可能性があります。

しかしながら、当該規定により正当な争議行為に対しては、刑事免責と同様に違法性が阻却され、使用者は組合に対して債務不履行責任や不法行為責任を追及することができないことになります。

詳しくは以下をご覧ください。

不利益取扱の禁止

正当な争議行為には刑事免責、民事免責という効果が認められていることに加え、争議行為を行った組合員に対し、解雇や懲戒処分を課すことは不当労働行為に該当するため許されません(労組法7条1号)。

参考:労働組合法|e-Gov法令検索

詳しくは以下をご覧ください。

 

 





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